第三者が特許権を実施する権原を有している場合には、その権原の範囲内に限り、その実施行為は特許権の侵害とはならない。その権原の一つとして、公益上の必要から、特許権者や専用実施権者の意思とは無関係に法律上当然に発生する法定の通常実施権がある。
2014(H26)年5月14日法律第36号により、特許出願審査の請求期間の徒過の救済手続の規定が整備されるのに伴い、「審査請求期間経過後の手続により回復した特許出願に係る特許権についての通常実施権」(特許法48条の3)が新設される。今回は、法定の通常実施権の全般について、解説する。